気まぐれオルフェといなかの茶人
季節のこと、田舎の暮らし、お茶のこと
オルフェ

オルフェ、自己紹介をする

僕の名前はオルフェ。この家の次男坊だ。

兄貴が社会人になると、この家のパパとママにはかまう相手がいなくなった。そこで僕がこの家にやって来た。今は、おばあちゃんを含めて三人が僕の世話をいろいろとやく。これまで兄貴も大変だったと思う。

僕は本当はもっと長い名前だった。この家に来た時、パパは僕を北欧のブルーブラッドの系統だとでも思ったのか、〈フェルナンド・オルフェウス13世〉と名付けた。実に長くて呼びづらい。初めて動物病院へ行った時も、受付の人が「オ…、オル…、オルフェ…ウスちゃんどうぞ」と呼んだ。次に行ったときは「○○さん、どうぞ」と名字しか呼ばれなかった。呼んでもらえない名前なんてペットにつけてはいけない。

結局、みんな僕を「オル」もしくは「オルフェ」とよぶ。実はここにパパのもう一つの意図があった。パパは大の映画ファンだ。自分の部屋にプロジェクターとスクリーンを常時セットして、時間があると観ている。好きな映画は何度でも観るので、時々ママに「そんなに観てるとDVDが擦り切れるわよ」と訳のわからないことをいわれている。そう。僕の名前は映画からきてるのだ。

フランス映画で、ジャン・コクトー監督の『オルフェ』。同じくギリシア神話のオルフェウス伝説から作られたマルセル・カミュ監督の『黒いオルフェ』も有名だそうだが、ストーリーは?と聞くと「不思議な映画」…なんだって⁈ まあ、大好きな映画から名付けたのならしょうがない、許そう。僕はまだ人間らしい名前だが、兄貴なんてフランスの映画雑誌から名前をつけられている。「珍しい名前なので、人にはよく覚えてもらえる」とは言っているが…。プラス思考でいくしかない。

というわけで、僕の名前はオルフェ。よろしく❣