里の緑が色を増すころ、雪国の山々では遅い芽吹きの季節を迎えます。
山菜は早春の蕗のとうに始まり、少しづつ奥山に入ってぜんまい、くぐみ、たらの芽、こしあぶら、山うど。そしてこれからは山ぶき、谷ふたぎ(水ぶき)、のびる、みつば、根曲がり筍…と続いていきます。
春の山菜には独特の苦みがあります。この天然の苦みや辛みは冬の間に縮こまっていた身体を目覚めさせ、活動的にしてくれるといいます。苦みの成分は、抗酸化作用のあるポリフェノール類によるもので、老化の進行を遅らせる働きがあります。また山菜にはビタミンも豊富なものが多いということです。まさに山の幸ですね。
上の写真の、手前にある綿のついているものがぜんまい。真ん中がたらの芽の小さめのもの。奥が少し葉の出たたらの芽です。
これは、こしあぶら。
わらびです。
タラの芽やこしあぶらは、てんぷらがお勧めですが胡麻和えなどでもおいしくいただけます。おおかたの山菜は揚げ物にしたり茹でたりすると苦みは和らぎますが、アクの強いものはアク抜きが必要です。
【アク抜き】わらび
わらびは、湯を沸かした中にわら灰を入れ、程よい柔らかさになったら火を止めて一晩そのまま置きます。翌日、よくすすいでお浸しとしていただきます。もともとぬめりがあるので、あまり茹で過ぎないようにすると良いでしょう。
【アク抜き】ぜんまい
つぎは、アクのとても強いぜんまいです。
まず、穂先を包んでいる綿を優しく取ります。
鍋にお湯がぐらぐらとなるぐらいしっかりと沸かし、そこへ綿をとったぜんまいを投入。あまり長時間茹でたりせず、さっと熱を通したくらいで火を止めそのまま一晩おいておきます。
翌日、わら灰をまぶして天日で干します。1日3,4回軽く揉んで水気をしっかりとばし写真のケースにあるような干ぜんまいにします。干すことで風味が増し、おいしくなります。昔から山里の保存食として作られてきました。わが家ではお正月の煮物用として保存しておきます。
近年、自然趣向も高まって遠方から来られた方でも春山に多く入るようになりました。そのため特に山菜の時期には、山に入れないように山道を閉じてあるところもあります。そこはちゃんと管理者がいて、山火事や植物を根こそぎ採るようなマナー違反をおそれてのことです。マナーを守ってこその山の幸。楽しみたいですね。
ここでご覧いただいた山菜はすべて夫が仕事帰りに採ってきてくれたものです。彼は森林組合の作業員です。森林を整備する仕事で、格好良く言えば杣人。平たく言えばきこりです。
こんな大きな木を切ることもあります。
今日、山で彼が撮ってきた写真です。今、山は花卯木が満開だそうです。
これから、里山の様子もこうしてお伝えできればと思っています。